歌唱を装飾する「しゃくり・フォール・こぶし」を 実際に歌いながらどんなものなのかを説明します まず最初にお知らせしておきますが これらの唱法には定義がなくけっこう曖昧です ここでは理論ではなく私が歌う唱法で説明します またそれぞれの音楽(歌唱)記号も決まっていないので 私が通常使用しているもので表示します これらの装飾をかけるべく音をここでは「その音」と称します |
まずは4小節の歌を聴いて下さい 一切装飾なしでの歌唱です 多少ビブラートがかかるのはご容赦下さい |
しゃくり その音より下の音からしゃくり上げるように歌います しゃくる音域とかける時間で調整します 共に大きくかけると「前川清」になります 通常はその音より半音もしくは1音下からしゃくります 前の音がその音より低い方がしゃくりが自然です ブレス後最初の音はしゃくりをかけやすいです 普段は何気なく使っていると思いますが 使う場所を固定する事で使いすぎやムラを防げます |
フォール その音から次の音に向かって滑り落ちるように歌います その音が次の音より高い音でなければ成立しません ブレス後最初の音にはかける事が出来ません |
こぶし 「その音 → 半音(1音)上の音 → その音」を素早く歌います 譜面で表すと左の16分音符の半分の長さの32分音符くらい 実際は譜割りを意識せずに自然な抑揚で歌うのが望ましいです 最初はかなりゆっくりしたテンポで練習すると良いでしょう 通常はその音より次の音が低い時に使います 言葉的にはこぶしを「効かせる」「まわす」などと言います 演歌歌手はこれに強弱や抑揚をつけ独特の歌い回しにします |
それでは全部入れて歌います 最後の「うかい」の部分で軽く技を使ってみます 「う」と「か」の間にほんの少し間を入れます 「か」のしゃくりで短いクレッシェンド後すぐ息を吐きますが 息を多目に吐きつつフォールして少しためて「い」に至ります 例えるなら溜息を吐くような感じでしょうか この「息吐きフォール」は少し難しいでしょうが 覚える事が出来たら歌唱の幅が大きく広がると思います |
歌の練習には譜面を使用する事をおすすめします 譜面に装飾記号を書き込む事により コーラス毎で同じ歌い方が出来るようになります その場の雰囲気で毎回歌い方を変えてはいけません その他、ブレスの位置・声を伸ばす範囲 発音に注意する言葉・ためる音など 自分の思う範囲で細かく記入します それを歌いこなす事で歌唱力がUPします |